アブストラクト(39巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 自己広背筋による循環補助の可能性に関する基礎的研究-電気的トレーニング(Electrical preconditioning)の疲労軽減効果-
Subtitle :
Authors : 森田紀代造, 小柳勝司, 坂本吉正, 田中圭, 若林研司, 堀越茂樹, 松井道彦, 新井達太
Authors(kana) :
Organization : 東京慈恵会医科大学心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 3
Page : 284-293
Year/Month : 1991 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 成犬23頭(体重14.8±4.5kg)を対象に一層の広背筋グラフトによる骨格筋心室(skeletal muscle ventricle=SMV)を作成しI群:コントロール(N=12), II群:vascular delay 4~7週施行(N=4), III群:vascular delay 5週及び電気的トレーニング4週施行(N=7)の3群間でSMV収縮能, 疲労抵抗性を比較, 骨格筋グラフトによる左心系循環補助の可能性を検討した. テスト回路(afterload 70mmHg)内駆動におけるSMV内圧(maxP), 1回駆出量(SV)はpreload, 電気刺激頻度(burstfrequency)と共に増加した. 25~75Hzの各刺激条件においてIII群はI群に比し有意に低値を示したが, preload 25mmHg, 50Hz轍にてmaxP:131±42mmHg, SV:7.0±3.0ml/beatと左心補助に十分な駆出能を認めた. 連続駆動(60/min)による駆出持続時間はI:4.0±1.1min, II:32.4±14.0min(p<0.01 vs I), III:107.5±15.0min(p<0.01 vs I, II)とIII群において著明な疲労軽減を示した. 駆動中の広背筋血流(筋重量100g当たりの胸背動脈血流量)はI:10.0±3.1ml/min/100g, II:15.0±3.7mi/min/100g, III:20.7±2.5ml/min/100g(p<0.01 vs I)とIII群で高値を示した. 駆動中の広背筋酸素消費量/乳酸流出量比(Vo2/ΔLactate)はI:0.33±0.10, II:0.36±0.09, III:1.56±0.97(p<0.01 vs I, p<0.05 vs II)とIII群における嫌気性代謝の軽減が示唆された. 広背筋組織のミオシンATPase染色によるType I slow-fiberの比率は, I:27.2±7.7%, II:25.3±5.5%, III:59.2±6.8%(p<0.01 vs I, II)であった. 以上から電気的トレーニング後の一層の広背筋グラフトは50Hz burst刺激により左心部分補助に十分な収縮能を有すると共に, 筋線維タイプのtransformation, 血流供給能, 骨格筋代謝の改善の結果, 左心補助を想定した連続駆動においても骨格筋疲労が著しく軽減し得ることが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 骨格筋心室, 広背筋, 電気的トレーニング, 骨格筋疲労, 左心補助
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