Abstract : |
CABG術後症例29例を対象とし, 心RI angiographyを用い, 術後遠隔期における安静時及び運動負荷(Ex)時における左室機能に関して収縮特性を中心に評価した. 対象を完全血行且つ非梗塞6例(完全・MI(-)群), 完全血行且つ梗塞10例(完全・MI(+)群), 不完全血行且つ非梗塞5例(不完全・MI(-)群), 不完全血行かつ梗塞8例(不完全・MI(+)群)の4群に分類した. 心疾患を認めない6例を対照群とした. 運動負荷に際しての変化は, 完全・MI(-)群においては収縮期血圧/収縮期末容積係数(SP/ESVI)及び駆出率(EF)は有意に増加し, 拡張期末容積係数(EDVI)は維持された. 完全・MI(+)群においてはSP/ESVIは増加し, EF及びEDVIは不変であった. 不完全・MI(-)群においてはSP/ESVI, EF及びEDVIとも不変であった. 不完全・MI(+)群においてはSP/ESVI及びEDVIは不変であり, EFは有意に減少した. 一方, Ex時のSP/ESVI並びにEFについては完全・MI(-)群が他の3群に比し高値であり, 対照群と有意差を認めなかった. Exに際して生じたSP/ESVIの増加率(x)はEFの増加度(y)との間にy=0.15x-9.4(r=0.81, p<0.001)の正の相関関係を認め, 更に, これはEDVIの増加率(y)との間にy=9.5-0.11x(r=0.54, p<0.005)の負の相関関係を認めた. よって, 以下のごとく結論した. 1. 完全血行再建且つ非梗塞例は, Exに際して収縮特性の増加により対応し, すなわち正常化する. 2. Exに際しての収縮予備能の低下症例においては, 前負荷をより増大させているにもかかわらず, 駆出予備能は低下傾向にある. |