Authors : |
水元亨, 徳井俊也, 草川均, 佐藤友昭, 和田潔人, 田大力, 木村誠, 並河尚二, 草川實 |
Abstract : |
当教室で1982年から1990年7月までの8年間に切除した原発性肺腺癌155例を対象とし122例はパラフィン包埋標本を, 残り33例は新鮮凍結標本を用いflow cytometry(FCM)により核DNA量を測定した. 核DNA量を測定の結果, aneuploid patternを示したものは106例(68.4%), diploid patternを示したものは49例(31.6%)であった. また両群間に年齢, 性, 及び病理組織学的病期による差は認められなかった. また, DNA Index(DI)及びHeterogeneity Index Score(HIS)値と脈管侵襲の有無について検討した結果, 血管侵襲陽性率は1≦DI<1.5群の38.1%に比し, 1.5≦DI群では63.6%と高率であった. またHISと脈管侵襲の有無についての検討においても, 血管侵襲陽性率はHIS<100群の29.4%に比し, 100≦HIS群では62.5%と高率であった. 5年生存率は, DNA aneuploidy群では28%とdiploidy群の65.1%に比し有意に予後不良であった. またDIと予後の関係では, 1.5≦DI群の5生率は14.9%で1.0≦DI<1.5群の55.4%に比し予後不良であった. 更に気管支鏡下擦過などを用いた肺癌細胞の核DNA量測定による術前からの予後診断の可能性について検討した結果, DNA ploidy patternは9例中8例で手術標本と一致した. 肺腺癌において核DNA量は重要な予後因子となると同時に, 術前より予後診断が可能であると考えられた. |