Abstract : |
ラットをセレン欠乏食で約2ヵ月飼育することにより, 血清セレン濃度, 血清及び心筋内グルタチオンペルオキシダーゼ活性の点で乳児期ラットと類似の状態を作り出せることから, このセレン欠乏食ラットを用いて, 新生児期乳児期における再灌流障害の原因の1つとしてのセレン, グルタチオンペルオキシダーゼの関わりについて検討した. 方法は, セレン欠乏食ラット(n=6)と成熟ラット(n=6)の摘出心をランゲンドルフ灌流装置に接続し, 37℃の酸素加Krebs-Henseleit液で15分間灌流後, Young氏液, St. Thomas液を冠動脈内に灌流して心停止とし, 4℃60分間の心停止後, 再灌流を行った. working heart modelとし, 左房から13cmH2Oの圧で灌流し30分後に大動脈圧, 左室圧, 左室max dp/dt, 冠血流量, 大動脈血流量を測定した. その後液体窒素により心臓を瞬間凍結し, 心筋内過酸化脂質濃度を測定した. 結果は, セレン欠乏食ラットでは, 大動脈収縮期圧, 左室max dp/dt, 大動脈血流量, 心拍出量, 一回心拍出量は成熟ラットと比べ有意に低値を示した. また, 心筋内過酸化脂質濃度は有意に高値を示した. 以上の結果から, セレン欠乏食ラットは成熟ラットと比べ, 虚血再灌流障害を受け易く, その原因として血清内セレン濃度, 血清及び心筋内グルタチオンペルオキシダーゼ活性の低下が考えられる. |