Abstract : |
今回, われわれは63歳の不完全型心内膜床欠損症に僧帽弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全症を合併した症例を経験した. 手術は僧帽弁置換術, 心房中隔一次口欠損パッチ閉鎖術及び三尖弁輪縫縮術を施行した. 術後経過は良好であった. 高齢者(50歳以上)の心内膜床欠損症に対する手術例は極めて少なく, 本邦での報告は16例のみである. 高齢者においても積極的に手術を行い, 弁の後天性変化に対しては弁置換術の必要性も考慮すべきであると思われた. 心内膜床欠損症(以下ECD)において50歳以上の自然経過を取るものはまれである. 今回われわれは, 63歳の不完全型ECDに僧帽弁閉鎖不全症(以下MR)と三尖弁閉鎖不全症(以下TR)を合併した症例に対し, 手術を施行し良好な結果を得たので文献的考察を加え報告する. 「症例」症例:63歳, 女性主訴:夜間呼吸困難. 起座呼吸家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:10歳の時, 心臓病を指摘された. 出産後, 動悸, 労作時呼吸困難を自覚するようになった. 37歳の時, 当科を初診し, ECDと診断され, 手術を勧められるも拒否していた. |