Authors : |
松木修, 松田暉, 島崎靖久, 門場啓司, 金香充範, 宮本裕治, 松若良介, 張釟嶂, 倉谷徹, 川島康生* |
Abstract : |
体重20kg未満の28例(年齢:11~67カ月, 平均41カ月)に対し高度血液希釈での体外循環を用いた無輸血開心術を試みた. 疾患は, 心室中隔欠損(VSD)14例, 心房中隔欠損4例, Fallot四徴症を含むチアノーゼ性疾患6例等であった. 無輸血体外循環の条件として, 最低ヘモグロビン値を4g/dl, 混合静脈血酸素飽和度40%以上を一応の基準とした. 結果として18例で術中無輸血が可能であり, 16例は無輸血のまま退院した. 無輸血手術の成否の規定因子として, 体外循環時間が重要で, これが120分以内の症例ではその70%で無輸血手術が可能であった. 体重が15kg未満の場合には無輸血例は少なくなる傾向にあったが, 体重は必ずしも規定因子ではなく, 10kg以下でも無輸血手術が可能で最低体重は6.8kgのVSD例であった. 高度血液希釈による問題は臨床的には見られなかった. 補助手段として麻酔導入後の患者血採血と術中自己血回収装置の使用が有効であった. 以上より, 術前採血の困難な体重20kg未満の小児においても, 最低ヘモグロビン値が5g/dl程度の高度血液希釈体外循環は, その時間が120分以内であれぽ, 重症例を除けば, かなりの症例で安全に行えるものと考えられる. |