Abstract : |
近年, 内胸動脈に匹敵する第2の信頼しうる動脈系グラフトとして右胃大網動脈(RGEA)が注目されてきており臨床応用されつつある. しかしながら, GEAに関して術後のグラフト径の計測及び先細り現象に対する検討を行った報告はいまだ発表されていない. 当施設において, 1989年12月より1991年3月までの1年3カ月にGEAを用いたCABGを42症例に施行し, GEAグラフトの性状を, その術後造影所見により比較検討した. その結果, GEAグラフトは開存率に優れ, グラフト径も平均2.1mm(1.2~3.5mm)と良好であった. また, string signは1例も認めなかったが, 先細り現象を4例に認めた. そこで, GEAの先細り現象をグラフト径が5F以下でグラフトflowとして有効に機能していないと考えられるものと定義し, slender signと命名した. slender signの原因として, 良好なnative flow, 灌流域の狭小化, poor run offが考えられた. 良好なnative flowが原因でslender signを来した3症例には, 灌流域の虚血症状を呈したものはなく, 心筋への血液供給は十分であると思われた. しかしながら, 長期予後に関しては今後の課題を残している. |