Abstract : |
1991年10月までに当院で施行された経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(Percutaneous Transvenous Mitral Commissurotomy, PTMC)は, 150例であった. このうち僧帽弁狭窄症(Mitral Stenosis, MS)の解除が不十分な4例と, PTMC施行後に僧帽弁逆流(Mitral Regurgitation, MR)が3度以上となった6例の計10例に対し, PTMC施行1週~38ヵ月(平均13ヵ月)後に, 僧帽弁手術を施行した. MSが解除されなかった4例では, 弁尖と両交連もしくは弁下組織の病変がともに高度であり, PTMCによる弁口拡大がもともと困難な症例であると判断された. 2例で自己弁温存術式が可能であった. PTMC施行後にMRが3度以上になった6例の全例で弁尖自体の裂開を認め, 交連部及び弁下組織の病変の程度に比較して, 弁尖の病変が相対的に軽度であると判断された. PTMC施行後に急激に増悪するMRと本来なら自己弁温存術式が可能な症例におけるPTMC施行後の弁置換術施行症例の存在は, PTMCに伴う合併症として大きな問題であり, このような症例を減少させるためにも, PTMC施行前の弁病変のより一層詳細な評価と, それに基づいた適応の決定が望まれる. |