Abstract : |
1977年から1991年までの15年間に当科で切除した(試験開胸を除く)pT4症例54例を対象とし, 組織網・N因子・T4の理由(臓器浸潤又は播種・胸水)から予後を比較した. 組織型は扁平上皮癌24例, 腺癌24例, 小細胞癌3例, 大細胞癌3例, その他3例であった. N因子はN0 20例, N1 9例, N2 23 例, N3 2例であった. T4の理由は臓器浸潤のみ22例, 播種又は胸水25例, 臓器浸潤及び播種・胸水合併7例であった. pT4症例全体の生存率は, 1年57.0%, 3年32.5%, 5年24.4%であった. 組織型別では, 各群間に有意差はなかった. N因子別の5生率は, N0例(43.0%)とN2例(13.0%)との間に有意差を認めた. T4の理由別の5生率は, 臓器浸潤のみ例22.5%, 播種又は胸水例28.6%, 両者合併例0%であったが, 各群間に有意差はなかった. 5年以上の生存例は7例あり, 最長生存は10年11ヵ月であったが, 長期生存に共通する因子は見出しえなかった. 以上からpT4症例においても, N0症例の予後は良好であり手術適応があると考えられ, また単独臓器浸潤例, あるいは術中初めて認識できるような少量胸水例でリンパ節転移のない場合にも手術適応があると考えられた. |