Abstract : |
Bjork-Shiley convexo-concave弁(以下(C-C弁)はstrut fractureによる弁破損を起こすことが報告されており挿入症例への対応には議論がある. そこでC-C弁の臨床成績を評価し, 当教室の方針を明確iにした. 対象はC-C弁による僧帽弁単弁置換術28例でありSt.Jude Medical弁(以下SJM弁)による僧帽弁置換術665例との間で, STSガイドラインにもとづき比較検討した. C-C弁の人工弁関連合併症の頻度としてstructural deteriorationは, strut fractureによる弁破損が1例に発症し0.30%/pt-yrであった. この症例は急性左心不全で失った. このほか, nonstructural dysfunction:0.30%/pt-yr, thromboembolism:1.20%/pt-yrであった. Thrombosed valve, anticoagulant-related hemorrhage, prosthetic valve endocarditisは認められなかった. Kaplan-Meier法によるC-C弁の10年間のEvent freeは, 実測生存率:77.9%, 再手術:91.6%, 血栓塞栓症:83.7%, 手術死+再手術+人工弁合併症:71.2%であり, 再手術を除きC-C, SJM両弁間に有意差を認めなかった. C-C弁の遠隔成績としては, SJM弁と比較しても満足すべきものと思われたが, strut fractureによる弁破損が発生した場合には救命は困難である. また, 当教室における最近10年間の僧帽弁再置換術の死亡率は2.6%であり, (C-C弁の弁破損率0.3%/pt-yrの10年間の累積とほぼ一致する. 従って若年例, activityの高い症例, 29mm以上のサイズの挿入例では計画的再弁置換術を考慮して良いと考える. |