Abstract : |
NYHA機能分類IV度を示した拡張型心筋症患者についてその予後判定の結果, 心臓移植の適応と判定し, 米国に搬送, 平成5年3月3日心臓移植が施行された. 術後NYHAI度の生活に復し, 術後経過は心筋生検, シクロスポリン血中濃度, 心エコー法, リンパ球サブセット, 血中サイトメガロウイルス抗体などを外来にて検査し, 経過観察としている. 術前状態及び術前後管理体制について若干の考察を加え報告した. 欧米での心臓移植件数は年間約2,000例にのぼり, 難治性心不全患者に対する治療体系として既に確立されているが, わが国における心臓移植の再開は, 社会的制約により, いまだ実現されていない. 近年わが国でも移植治療を希望して受診する例も多く認められ, 移植医療を切望する声は年々大きくなりつつある. このような状況下において, やむなく自費にて渡米し, 心臓移植を受けた症例は全国で13人に達し, これらの帰国心臓移植患者の術後管理のあり方が重要な課題となっている. 今回われわれは, 米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)において心臓移植を施行された患者の術後管理について若干の考察を加えたので報告する. |