Abstract : |
肺動静脈瘻(PAVF)は, 比較的まれな疾患で, 遺伝性の疾患であるRendu-Osler-Weber病(Osler病)との合併が知られている. 今回, 当院で経験したPAVFの7例と最近のPAVF本邦報告80例を加えた87例について, Osler病合併の有無による臨床像の差異について検討を加えた. 87例の性別は, 男38, 女49で, 年齢は, 5~70歳(平均40.8歳)であった. 36例に, telangiectasiaや鼻出血などの家族歴がありOsler病と診断された. PAVFの個数別では, 単発46, 多発41, 一側性56, 両側性31であった. 治療別では, 手術61, 塞栓術8, 経過観察のみ18であった. Osler病合併群(36例)と, 非合併群(51例)に分けて臨床所見を比較したところ, Osler病合併群に, PAVFの多発, 両側性例が有意に多くみられた(p<0.025). 自験例では, 7例中6例がOsler病を合併していた. また, 血小板機能検査 にてエピネフリソに対する凝集能の低下した1例と術後対側肺にPAVFの再発を来した1例を認めた. Osler病を合併した5例にHLA抗原を調べたところ, A26Bw6Bw61の組み合わせが3例に認められた. この型は, これまでOsler病との関連が報告されている組み合わせにはなく, Osler病には, 多種類のHLA抗原型が存在すると考えられた. |