Abstract : |
大動脈弁輪部膿瘍, AR, 左室及び右房痩を合併した活動期感染性心内膜炎(IE)の小児例を, AVR, 左室および右房痩の閉鎖により救命しえたので報告する. 症例は10歳, 男児, 9歳時に大動脈弁下狭窄症に対して他院で大動脈弁下組織切除術を受けており, 高熱のため来院した. 黄色ぶどう球菌による活動期IE, AR, 及び左室・右房痩による心不全の診断で当院に転院し, 開心術を施行した. 大動脈弁の右冠尖とバルサルバ洞に疣贅が付着し, 弁輪から左室と右房に穿孔していた. 感染巣の十分な郭清後, 弁輪狭小のため, 弁輪を拡大するように欠損部をパッチ閉鎖し, AVRを施行, 伴せて右房への穿孔部を右房側より直接縫合閉鎖した. 術後1年を経た今日, 症状もなく元気に日常生活に復している. 活動期感染性心内膜炎(infective endocarditis, IE)による急性の大動脈弁閉鎖不全症(aortic regurgitation, AR)は症状が悪化することがあり, 予後が不良である. 特に弁輪破壊が広範な場合, 左室大動脈間の非連続性に対して, 様々な修復法が提唱されている. 著者らは, 活動期IEにより, 左室及び右房瘻を発症した小児に対して弁輪修復及び拡大後に大動脈弁置換術(aortic valve replacement, AVR), 瘻孔閉鎖により救命しえたので報告する. |