アブストラクト(42巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下切除術の意義
Subtitle :
Authors : 渡辺真純, 高木啓吾, 青木輝浩, 尾形利郎, 田中勧
Authors(kana) :
Organization : 防衛医科大学校第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 7
Page : 1016-1020
Year/Month : 1994 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 良性縦隔腫瘍9例(男性3例, 女性6例, 年齢:16歳~69歳平均35歳)に対して胸腔鏡下手術を行った. 9例中8例で腫瘍の完全切除が可能であった. 8例の組織型は神経原性腫瘍3例, 気管支嚢腫3例, 成熟奇形腫1例, 前腸由来嚢腫1例であった. 気管支嚢腫, 前腸由来嚢腫の4例はいずれも下縦隔の傍食道に位置した. 神経原性腫瘍の3例は後縦隔発生で, それぞれ交感神経幹, 迷走神経, 第2胸神経由来であった. 成熟奇形腫は胸腺に接した前縦隔に位置していた. 腫瘍径は3.0cmから5.0cmであった. 一方, 開胸手術に移行した1例は当初より生検目的で胸腔鏡下手術を行った症例であり, 術中迅速検査で良性神経原性腫瘍と診断されたが, 気管分岐部に位置し腫瘍径が8cmと大きかったことなどを考慮し, 開胸下に切除した. 手術は全身麻酔下に分離肺換気とした後, 体位は肺門より背側の病変では腹臥位に近い側臥位, 腹側の病変では背臥位に近い側臥位とした. 原則として, 3ヵ所の処置孔(胸腔鏡用を含む)をおき, 主に内視鏡下手術用尖刀を用いて, 電気凝固を加えながら周囲の組織と剥離し切除した. 8例の手術時間は80分から184分, 平均122分であった. いずれの症例も胸腔ドレーンを第1, 又は第2病日に抜去し, 4日から9日, 平均5.3日で退院した. 胸腔鏡下手術に起因する合併症はなかった. 良性縦隔腫瘍の多くが胸腔鏡下切除の適応になり, 入院期間の短縮, 美容上の利点等からみて, 従来の開胸手術と比べ優れた方法と考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1016-1020)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔腫瘍, 胸腔鏡下外科手術
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