Abstract : |
成人開心術症例22例を対象として輸血群(12例)と無輸血群(10例)について, 術後の細胞性免疫能をT細胞のsubsetをもとに解析した. リンパ球数は開心術に伴い著明に減少し, その後回復したが両群間にはいずれの時点においても有意差を認めなかった. T細胞のリンパ球に占める割合は, 両群とも術前の40~45%から術後1日目には5%と著明に減少した. その後, 無輸血群では術後3日目には術前値に復したが, 輪血群では術後3日目に更に低値となり, 術後6日目に術前値に復した. T細胞のsubsetの変化による検討では, 術前にはいずれの測定においても両群間に有意差を認めなかった. OKT4陽性細胞は術後1日目には両群とも低下したが, 術後3日目には両群とも術前値に復し, 測定期間中両群間に有意差を認めなかった. OKT8陽性細胞は無輸血群では術前, 術後で大きな変化を認めなかったが, 輸血群では術後3日目に有意に低値となった. 輸血群では開心術後T細胞の低下傾向が無輸血群に比し長く, 細胞性免疫能が長く障害されると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2224-2228) |