Abstract : |
異常肺静脈が直接に上大静脈, 又は上大静脈右房接合部に還流する肺静脈還流異常症では, 種々な手術手技が報告されているが, 術後に肺静脈路の狭窄, 洞機能不全を生じやすく問題を残すことが多い. われわれは, 最近, すべての肺静脈が複数で, 直接上大静脈に還流する総肺静脈還流異常症(TAPVC)の1例に対してはVargas法を応用して右房壁フラップを作成し, 肺静脈血が心房中隔欠損孔を通して左房に流入するようにした. また, 3例の右肺静脈が上大静脈又は上大静脈右房接合部に還流する部分肺静脈還流異常症(PAPVC)に対しても, 術後の肺静脈路の狭窄や洞機能不全を来さないように右房の切開法及び縫合閉鎖法を工夫し, その形態に応じた方法で手術を施行した. 術後退院時には, 肺静脈流入路狭窄及び不整脈は認められなかった. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:2278-2284)肺静脈が直接に上大静脈, あるいは上大静脈右房接合部に還流する肺静脈還流異常症に対する手術手技は, 種々報告されているが, 術後に肺静脈路や上大静脈路の狭窄, 洞機能不全による不整脈などの合併症が多いようである. |