アブストラクト(45巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ラット再灌流心筋に対するマグネシウムの効果と心筋細胞内カルシウム動態について
Subtitle :
Authors : 花房雄治, 井上恒一, 小沢敦, 関口茂明, 安藤進, 本田完, 山田眞, 高場利博
Authors(kana) :
Organization : 昭和大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 4
Page : 536-542
Year/Month : 1997 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ラット摘出灌流心モデルにおいて, 再灌流管の細胞外マグネシウム(以下Mg2+)濃度変化が心機能及び細胞内カルシウム(以下Ca2+)濃度に及ぼす影響について検討した. 常温下で15分間KrebsHenseleit bicarbonate buffer灌流液(以下KHB液)でLangendorff灌流を行い, 虚血前値の心機能[心拍数, LVDP, LVdp/dt, LV-dp/dt, 冠灌流量(以下CF)]と心筋細胞内Ca2+濃度を測定した後, 大動脈を遮断しglobal ischemiaを作成した. 30分後に遮断を解除しMg2+濃度を変えたKHB液を4群(Mg2+:1.2mM, 2.5mM, 5mM, 10mM)に分け20分間初期灌流した. 次に20分間normal KHB液(Mg2+:1.2mM)で後期灌流し, 心拍数, 不整脈の発生頻度, LVDP, LVdp/dt, LV-dp/dt, CFを虚血前値と比較した. 更に虚血中及び再灌流中の心筋細胞内Ca2+濃度を測定し, 心機能と同に虚血前値と比較した. Mg2+1.2mM群では初期再灌流時に高頻度に心室性頻拍, 心室細動が出現したが, Mg2+10mM群では初期灌流中は心停止の状態であった. Mg2+2.5mM, 5mM群では心室性不整脈や心停止は認められず, Mg2+2. 5mM群のLVDPの回復が最も良好で後期灌流最終時では108.4±6.1%(mean±S.D.)であった. Mg2+5mM及び10mM群のLVDPも初期灌流20分時には比較的良好に回復し100.4±6.1%, 101.5±5.5%であった. 再灌流時心筋細胞内Ca2+の上昇はMg2+1.2mMで顕著で虚血前の248.9±15.6%あったが, Mg2+2.5mM, 5mM, 10mM群では上昇しなかった. 以上より再灌流時のMg2+の至適量投与は不整脈の抑制, 及び心筋細胞内Ca2+過負荷の抑制に有用と思われ, 再灌流時心機能を改善することが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 再灌流傷害, マグネシウム, カルシウム, 再灌流不整脈
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