Abstract : |
心室中隔穿孔(VSP)を合併した巨大左室瘤に対し左室再建術を施行した. 患者は68歳, 男性. 急性心筋梗塞にて当院内科で緊急冠状動脈造影(CAG)が施行された. LADseg. 7に完全閉塞がみられ, 経皮的冠状動脈血栓溶解療法(PTCR)にて99%狭窄に改善した. 心エコー上VSPと診断されたが肺炎の併発と急性肝障害のため内科的治療が選択された. 発症3カ月後に再度CAGを施行した. 左室前壁は広範囲にdyskinesisを示し駆出分画率(EF)26%, C-EF(機能心筋収縮率)40%, 左室拡張終末期圧(LVEDP)36mmHg, 肺体血流比(Qp/Qs)1.8であり, この時点で大動脈内バルーンパンピング(IABP)併用下に手術を施行した. 心室細動(VF)下に左室瘤を90X50mm切除した. 低位中隔に径9mmのVSPを認め, テフロンフェルトを用いて閉鎖した. 次いで心停止下に左室欠損部を縫縮し, ウシ心膜パッチを裏打ちしたGore-Texの二重パッチにて左室再建を行った. 術後新機能は著明に改善した. 本術式は,術後の溶血を防ぎ,良好な左室の形態を示すより生理的術式と考えられた. |