Abstract : |
作られた循環不全状態と言われる体外循環中から直後は酸素需要の増加と酸素供給の不足が起こり, 酸素需要供給バランスが破堤しやすい状態となる. そのため開心術において酸素代謝状況を把握して, 早急に適切な治療をすることは重要なことである. 酸素消費量, 酸素供給量, 酸素摂取率, 乳酸, 乳酸/ピルビン酸比を測定し, 動脈血ケトン体比(AKBR)との関係を評価し, AKBR測定の臨床的意義を検討した. AKBRは体外循環開始とともに急激に低下し, 体外循環終了時には体外循環開始前の値にもどった. AKBRの回復は乳酸と乳酸/ピルビン酸比より早かった. 各測定時点別の検討ではAKBRは遅れた測定時点の乳酸, 乳酸/ピルビン酸比と有意な相関を示した. またAKBRは体外循環中から終了後の乳酸/ピルビン酸比及び体外循環終了後の乳酸と有意な相関を認めた. AKBRは体外循環終了後の酸素消費量, 酸素摂取率, 混合静脈血酸素飽和度と有意な相関を認めた. しかし乳酸と乳酸/ピルビン酸比は従来の酸素代謝の指標と有意な相関を認めなかった. これらの結果からAKBRは開心術において乳酸より迅速な嫌気性代謝評価法になり得ると考えられた. |