アブストラクト(45巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の感染性縦隔洞炎に対する一期的大胸筋・有茎大網充填法の治療成績と問題点
Subtitle :
Authors : 朝倉利久, 青木啓一, 田所雅克, 中川隆司, 古田昭一
Authors(kana) :
Organization : 心臓血管研究所付属病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 9
Page : 1539-1546
Year/Month : 1997 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の難治性感染性縦隔洞炎に対する一期的大胸筋充填法と一期的大胸筋+有茎大網充填法の治療成績と問題点を検討した. 1992年1月から1995年12月までに当院で施行した開心術447例の内, 感染性縦隔洞炎の診断で外科治療と抗生剤療法を行った11例(2,5%)を対象とした. 外科治療法は, 全例に0.5%ポピドンヨード生理食塩水による洗浄と感染が波及した胸骨と周囲組織の徹底したdebridementを施行し, 感染の波及の広さにより再建術式を選択した. その内訳は, 一期的大胸筋充填法7例, 一期的大胸筋+有茎大網充填法4例であった. 各起炎菌に対する抗生剤療法は, 米国感染症専門医の指導のもとに欧米の成書に準じて最低6週間は施行した. 手術成績は, 4例に術後早期の合併症を認めたが病院死亡例はなかった. 4例の起炎菌と合併症は, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)による創感染の再燃, 人工弁感染性心内膜炎, 感染性動脈瘤であった. 術後ICU滞在期間は, 1~140(ICU滞在中に合併症なく経過した9例は平均6±3)日であった. 外科治療より退院までの期間は, 47~300(術後合併症なく経過した7例は平均58±8)日であった. 退院後8カ月~4年の遠隔成績は, 全例感染の再燃兆候なく健在である. 以上より, 本症に対する一期的大胸筋充填法と一期的大胸筋+有茎大網充填法は有効な治療法であることが示唆された. しかし, MRSA縦隔洞炎は, 本治療法でも難治性であり術後の厳重な経過観察が必要である
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 感染性縦隔洞炎, 一期的, 大胸筋・有茎大網充填法, 治療成績
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