Abstract : |
「まえがき」肺結核にたいする肺切除術の窮極の目的は, 氣管支斷端の永久的完全閉鎖に拌う結核菌の陰性化であり, それは, 膿胸, 氣管支瘻, 氣管支斷端結核, および, 殘存肺における活動性結核病巣の有無に左右せられる. ストレプトマイシン(以下SMと略記す)の登場以來, 早期におこる手術合併症は著しく減少したということは, Bailey1), Moore2), Murphy3), Overholt4), 卜部5), 鈴木6), 宮本7)などの齊しく認めるところであるが, 晩期合併症は跡を絶たず, Veterans Administration SM.Comferenceは, SM, 術前使用例の肺切除において, 上記合併症が増加の傾向にあることを警告している. 叉國立東京療養所において行われたSM. 併用肺切除69例についての私の行つた排菌源の追跡10)においては, 膿胸氣管支瘻および, 氣管支斷端の結核に由來する例が, それぞれ全排菌例の25%を占めており, 肺切除術の豫後を左右するこれ等の合併症についての研究は, 肺切除術が普及するに從い, ますます重大な研究課題であることを示している. |