Abstract : |
[第1節 緒言] 1922年Sicard a. Forestier1)によつてLipiodolによる氣管支造影法が創始せられてから數多くの研究者によつて追試せられ現在では普遍的な臨床診斷法となつた. 然し乍らこの方法によつて得られる氣管支の像は單に氣管支内腔の輪廓を示すに過ぎないものである. 氣管支の結核に關する病理解剖學的研究は結核屍の肺及び切除肺によつて行われるが生體における氣管支の状態をそのまゝに觀察することは不可能である. こゝに氣管支造影法の價値があり氣管支の病變は氣管支造影法と病理解剖學的研究と相俟つて始めて完全に理解することが出來るであろう. しかも臨床的には氣管支の病變は氣管支鏡によつて視ることの出為る範圍より末梢においては氣管支造影法によつて觀察する以外に道はない. 從つて氣管支造影像に關する研究は極めて重要であるが, しかし困難を伴うものであることは確かである. 氣管支造影像は常に病理解剖學的な考察の上に立つて讀影することが必要である. 之によつて氣管支造影像が單に氣管支の輪廓を示すだけに止まらずその病理解剖學的な意味をも與えることになるであろう. |