Abstract : |
[I 諸言] 近年麻醉學の進歩と共に肺結核を始めとして肺癌, 氣管支擴張症, 各種心疾患等の胸部手術が長足の進歩をとげるに從い, 肺機能に對する關心が昂つて來た. 肺の機能を多少犠牲にして病巣を排除する以上, 胸部手術の施行に際し肺機能を無視出來ないのは當然である. 術前には適應の決定, 手術量の決定, 手術危險の豫測に, 術後には囘復の程度を知り, 社會復歸の基準に肺機能檢査が重要なわけである. 肺の機能は元來心機能と密接な關係があり, 最近では心肺機能として一括して考えられる様になつて來た. 笹本は既に心肺動態なる概念を提唱し, 肺の機能を換氣, ガス交換, 肺循環の3つに分けている1). 心肺性動態を構成する因子としては, 血液動態, ガス動態, 血液相及びガス相ガス代謝, 酸鹽基平衡, 鑛物代謝があり, これらの中, ガス動態としては換氣, 肺容量, 換氣速度, 換氣の壓, 換氣能力, 吸氣の分布などが考えられる. 著者は各種胸部手術の術前, 術後に於ける肺容積區分, 殘氣量, 分時最大換氣量(M.B.C.)を測定し, 殘氣率, 肺内ガス混合, 換氣豫備量, 換氣豫備率, Air Velocity Index(A.V.I.)及び時間肺活量を考察した. |