Abstract : |
「第1章緒言」最近肺結核外科療法に於ける肺切除術の地位は胸廓成形術と共にその主流をなし, 近來其の普及は著しい. 云う迄もなく肺切除術は術側の開胸を要するので胸成術に於けるより以上に對側肺の機能の檢討を十分に行つて術中術後の不慮の呼吸障碍に備える必要がある. 胸成術では過虚脱による呼吸障碍の關に於て對側肺の機能の檢討が重要であるが肺切除術では特に種々の事情により豫定以上に肺を切除し, 稀には一側肺全剔除を余儀なくされる場合もあるので, かかる事態を豫め老慮して右左兩肺の機能を別々に測定して術中術後の不測の偶發事故に備える事が不可缺となる. 更に又肺結核或は氣管支壙張症の外科的療法に於ては, 右左兩側の肺手術を必要とする揚合が少くないが斯る場合には術前の右左別肺機能檢査を施行して始めて手術が安全且つ適切に施行されると云つても過言ではないと考える, 右左別肺機能の研究は1932年Jacobaeus及び其の共同研究者, Frenckner, Bjorkmanのブロンコ・スビロメトリーの研究に次いでGebauer, Zavod, Leiner, Norris, Carlens, Cournand等の研究があり本邦では鈴木及びト部の研究に初り今日に到っているが, 肺機能を右左別々に正確に測定する事は今日に到つても必ずしも容易ではない. |