Abstract : |
「緒言」肺葉切除施行後に於て, 殘存肺が術前に比較し, 異常な形態を示すことは, 手術に依り生じた切除腔の存在と, 殘存肺の再膨脹を考える時, 當然と思われるが, 此の異常形態に依り, 殘存肺の氣管並びに氣管支分岐にも, 變形を示すことは, 充分豫測せられる所である. しかしながら殘存肺の示す形態は, 多くの因子, 即ち術前後並びに術中操作に依り左右され, 劃一的にこれを示すことは困難であり, 各症例について, すべて相逹するものであるといえる. しかしながら, 術後の氣管支形態, 即ち氣管支, 枝の態度及び走行を追求することに依り, その一般的傾向を知ることは可能であると考える. 從來の文獻を渉獵するも, 殘存肺の氣管支枝の態度につき, 觀察せる報告は殆んどなく, 本邦に於けるものとして, わずかに, 吉村, 池谷の報告が見られるのみである. 私は殘存肺の形態を追求する一環として, 肺結核症として, 國立大府莊に入莊し, 肺葉切除を行つた症例につき, 氣管支造影法を施行し, 氣管及び氣管支枝の形態を觀察し, 同時に, これに最も影響を及ぼす因子として横隔膜及び死腔について檢討した. |