Abstract : |
「緒言」氣管支癌が, 最近, 増加の傾向にあることが注目されている. この増加が, 見掛け上のものか, 或は又, 實際の増加であるか, と云う點については, まだ議論が多い. 而し乍ら, 最近, われわれが, 實際に見聞する氣管支癌の數は非常に多くなつている. これは, 一般に診斷技術の進歩, 胸部疾患とくに肺炎及び肺結核にたいする沿療成績の向上, 及び平均寿命の延長などに, 大いに, 關係があると考えられるが, 氣管支癌そのものにたいする關心の昂揚も見のがせない. 更に, 胸腔内手術の進歩によつて, 根治手術の可能性が實證され, この疾患にたいする興味を深めたことは, 剖檢例の増加の一つの原因となつていることと思う. 本症の早期發見と, 早期手術の可能性を明瞭にするためには, その臨床豫とくにレ線豫の分析・把握が必要となる. この目的にしたがつて, 私は, 本症の病理學的觀察を行い, レ線像と對比檢討して, その相關性をもとめた. 本文に示す成績は, 昭和23年8月より昭和28年9月に至る間に得られたものである. 研究材料は, 慶大外科學教室に於て, 手術剔出した症例10例, 及び慶大病理學教室に於て剖檢した剖檢例30例, 計40例である. |