Abstract : |
第II編肺切除術の肺循環機能及び肺胞機能に及ぼす影響「第1章緒言」第I編に於て肺切除術を4群(部分切除, 區域切除, 肺葉切除, 全剔除)に分類して, 手術前后に於ける肺換氣機能の面から檢討を加え, 此等各換氣因子間には, 大略, 手術量と並行的關係を示すものが多いことを知つたのであるが, 換氣機能が古くから研究が續けられているに反しCournand(1941)等により發展させられた心臓カテーテル法による肺循環面は比較的立遲れの恨があつた. 近時, 頓に, この方面の研究が台頭し肺機能は換氣, 循環, 肺胞機能の有機的な相互關係を檢討することによつて始めて完全なる肺機能を明にし得るに至った. 本邦に於いても1951年頃より上田, 小林, 笹本, 田坂, 三瀬等によって研究せられるに及び病態生理或は心肺動態として各方面から研究されつゝある現況であるが, 肺循環面を主體とした肺切除術前後の心肺動態の研究はCournandの術后6カ月の少數例の報告の外, 本邦では笹本, 楠目, 城, 長石, 林(周), 枝, 原川, 鈴木(一)等によつて報告せられているが, 何れも總合値によるもので術側(患側), 反對側(健側)に分離した研究が少ないので, 私は本編に於て第I編に引續き肺結核患者を4群に分類して, その心肺動態の各因子を手術前後に亘ってその變動を觀察し, 特に, 肺動脈壓, 肺毛細管壓, 壓勾配, 肺小動脈血管抵抗, 全肺血管抵抗に關しては左右別に分離檢討し, 又肺胞機能, 酸鹽基平衡の状態にも論説し, 合せて換氣機能との相互關係を追究し肺切除術に於ける呼吸循環機能の實態を明にせんと試みた. |