Abstract : |
「第5章横隔膜神經麻痺術」横隔膜神經麻痺術は1911年Stuertzの提言を1912年Bardenheuerに依つて1氣管支擴張患者に行われたのがその嚆矢であり, 1913年Sauer bruchが5名の患者に, 1914年 Wartherが24名の患者に行つている. 麻痺術を施行すれば, 術側肺基底部が麻痺擧上した横隔膜の爲に壓縮せられて肺胞容積の呼吸性變動並に位置移動が制限され, 術側胸腔内壓の變化が減少する爲に術側肺全體の弛緩と肺胞容積の呼吸性變動が制限せられる. 又かくの如き形態的變化に伴つて術側肺基底部の瓦斯交換機能も著しく低下してくる事は, 肺活量の減少, 分時換氣量の減少, 動脈血酸素飽和度の低下によつて明らかに證明される所である. 即ち横隔膜神經麻痺術は形態的にも機能的にも術側肺に安静と萎縮とを與え治癒機輙を促すものであつて, 肺結核症の虚脱療法の一つとして從來廣く行われていたものである. 余は19症例に就き, 横隔膜神經麻痺術の術前及び術後に於て, X線キモグラムに依り, 横隔膜, 肋骨及び肺の運動を測定し, 麻痺術が如何なる程度に於て結核性病巣に安靜を與えるものであるかを研究した. |