アブストラクト(4巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 結核性膿胸の治療成績
Subtitle :
Authors : 宇野顯, 關口一雄
Authors(kana) :
Organization : 國立宮城療養所外科
Journal : 日本胸部外科學會雜誌
Volume : 4
Number : 1
Page : 48-64
Year/Month : 1955 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒論」結核性濃胸の定義に關しては未だ定説がない. 例えば, 肋水中に結核菌が證明されればすべて結核性膿胸とするもの1)~4)あるいは結核菌のみで惹起された膿性肋水がある揚合5), 肋水が結核菌に關係なく膿性又は混濁肋水がある揚合6), あるいは肋水中に直接結核菌を著明した場合だけに限るとするもの7)等學者により意見は全く區々である. このような現状では, 膿胸の治療成績を比較する上に支障があるので, Ornstein等8)は肋腔に結核性の滲出液があれば, すべて結核性膿胸であるとして, 次の分類法を提唱した. すなわち肋水の性状からA(非膿性)B(膿漿液性), C(膿性)の3群に大別し, 各群を更に肋水中結核菌陰性で喀痰または胃洗條液中の結核菌陰性(1)及び陽性(2)と, 肋水中結核菌陽性で喀痰または胃洗滌液中の結核菌陰性(3)及び陽性4)に分け, C群では更に混合感染性で喀痰又は洗滌液中の結核菌陽性(5)および陽性(6)に細別して, これに肋水の色調, 氣管枝肋膜瘻, 肋膜皮膚瘻, 胸壁穿孔性濃胸の有無等を併記する1分類法であるが, 肋水が膿性でないものも廣く結核性膿胸に包含する點については可成りの義疑があり, 諸家の成績と比較する上にも不適當であると考えたので, 先に關口9)等はOrnstein分類のB及びC群に相當し, しかもレ線上明瞭な滲出液貯溜を認め, かつ穿刺または手術により直接膿を證明した場合だけを結核性膿胸と定義し, 1939年に宮城療養所が開設されてから1950年7月までの間に治療された患者のうち, この定義に該當する134例(非結核性10例を含む)についてその治療成績を報告したが, 剥皮術の採用により, その後の當所に於ける濃胸の治療に大きな變化が起つたので, 私は1939年以來1954年4月までに治療された患者のうち, 6カ月以上の經過を觀察した. 180例(176名)についてあらためて再調査を行った. こゝにその概略を報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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