Abstract : |
[いとぐち]最近胸部外科の發達に伴い, 肺結核患者に侵襲の大きな各種手術が行われるようになつてきたが, その前後の病態生理を追求する1手段として肝機能檢査が重要視され, これについての報告が多數發袤されている. しかし肺結核患者にくらべて, 一般状態がより悪化していると考えられる結核性膿胸例の肝機能については, 系統的な研究がほとんどなく, 僅かに斷片的な報告1)が散見するだけである. 膿胸その他による膨脹不全肺に對する肋膜剥皮術の成績については, われわれもすでに數囘にわたつて報告したが, この手術による侵襲は, 肺切除にまさるとも劣らぬ大きなものであるから, 手術前後の肝機能の消長を知ることは, 剥皮術の適應を決定し, 術後の經過を剣定するためにも極めて重要である. 私は當所において, 剥皮術を豫定された結核性ならびに非結核性膿胸例と, 肋膜外肺剥離術, 肺切除術, 胸廓成形1次および同2次手術を豫定された肺結核例について, 手術の前後にBromsulphalein血中停滯量を測定すると同蒔に尿ウロビリノーゲン反應, 血清高田氏反應, 尿ミロン氏反應を檢査して肝機能を綜合的に判定し, 興味ある所見を得たのでその概略を報告する. |