Abstract : |
「第1章 緒言」最近, 胸部手術は劃期的發展を遂げた. 即ち, 氣管内麻酔により酸素を充分に供給し得, 且つ患者を無痛安静の状態に保ちつゝ長時間の手術を施行する事が可能となり, 手術技術の確實性が増した爲及び抗菌劑の出現, 輸液による循環系の保護等により, 開胸が比較的安全且つ容易になつた事が與つて大である. 然し乍ら, 胸部手術に於いては他の手術に比較して, 術中, 術後に於ける呼吸循環障碍の危險性が多く, 肺水腫を發生する事がある. 術後合併症としての肺水腫に關しては, 夙に米 國に於いて研究され, Gibbon等1)2)(1942), Eaton等3)(1942), Thornton等4)(1947), Jordan5)(1951), Beattie6)(1953)等の業績があり, 本邦に於いても, 東北大學桂外科教室の葛西等7)(1952), 柿坂8)(1953), 鄭9)(1953), 大場10)(1953), 東京女子醫大榊原外科教室の太田等11)(1953)及び慶應大學前田外科教室の石川等12)(1955)の研究發表があり, 最近は本症の治療法に就いて眞摯に論議せられている. |