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[まえがき] 氣管支鏡檢査及び氣管支造影術が日常用いられる様になつてから氣管の瘍潰, 變形, 狹窄及び腫瘍等を發見することが多くなつてきた. 我々は偶然にも氣管支鏡檢査で腫瘍樣の外觀を呈し組織所見でTracheopathia osteoplasticaと解された1例を經驗した. このTracheopathiaosteoplasticaはHiebman9)によれば100年前1856年にLuschka, 翌年Wilksの報告以來歐米の報告例は70例に達した. 本邦に於いては昭和13年7月城所及び湯淺の1)報告した1例に初まる. その後, 松島2)(昭和14年), 青沼3)(昭和15年), 中村4)(昭和16年)松本5)(昭和16年)の各1例の病理解剖例の報告があるに過ぎず極めて稀な疾患である. よつて, 「レ」線學的に, 氣管支鏡的に, 又組織學的にも確認された本症例を本邦に於ける第6番目のものとして追加報告をする. 症例 53才 男, 事務員(主訴)胸部の「レ」線檢査を希望. (家族歴及び遺傳)特別のものなし. (既往歴)幼兒麻疹に罹患した以外は生來健康である. (嗜好)飲酒せず, 煙草少々嗜む. |
