Abstract : |
第2編 兩側肺切除術の臨床 [第1章 緒言] 兩側肺切除に伴う心肺動態の變動に關しては既に前編に於て論述した. 本編に於いては, 一般臨床面を對象として, 兩側肺結核の外科的療法特に切除療法について檢討した. 即ち臨床的にみて兩側性の病變は, 一側の病欒の場合に比較して, 化學療法に關しても充分に檢討を要することが多く, 且病藁の改善をまつて手術を最小限に止める努力も必要である. 又實際面に於いて手術の先行側或は手術間隔等についても, 一般状態から檢討する必要がある. 切除量を決定するに當つても, 前編に述べた研究を基礎として, 手術の適應, 許容限界を臨床的に檢討すると共に, 術中特に第2囘手術に於いては, 心肺機能の不利な條件の下で其の安全性を確立しなければならない. 排菌源である主病藁に對して一側切除を行つても, 換氣循環機能の面で小病欒の切除の不能となる場合がある. 此の場合, 其の遺殘病巣が如何なる態度をとるかと云うことも臨床的に重要であり, 更に合併症を起した場合の危倶すべき状態, 菌陰性化或は菌陰性率の檢討, 体力の保持状態, 更に社會復歸面から見ても, 兩側切除の妥當性を檢討することが必要である. 此の樣な意味を主として第1編で取扱つた症例について臨床面で檢討した. |