Abstract : |
[第1編 人爲低血壓下麻醉の病態生理學的研究] [第1章 緒言並びに文献的考察] 出血の少ない手術野を得るために近年種々な方法が講ぜられて來た. 即ちGardner(1946), Hale(1948), Kahlstead及びPage(1943)等は此の目的のため脱血法を行つて實驗し, 既に臨牀面にも應用した. 又Griffith, Gillies(1948)は高位脊髓麻醉に於ける低血壓を利用し手術を行つたがEnderby(1950), Schakletonに至つて藥物を使用して人爲低血壓を得る事に成功した. 藥物に關してはParton, Zeinis(1948)がDekamethonium(Syncurine)の發見に端を發しその拮抗劑としてPentamethonium, Hexamethoniumが發見され, その降壓作用のある事を明らかにした. 即ち自律神經遮斷による低血壓下麻醉が研究される様になった. Hexamethomium bromide(以下C6と略す)の臨牀方面の研究に於いてはBernsmeier, Simons等は腦血流量の測定で, 平均血壓が70~50mmHg(-40%)に低下した場合約20%の減少しか見られず, 腦血流量は良好に維持せられる事を指摘して居る. 又循環系の研究ではBein, Meier(1951)はC6により速脈が見られ, その際分時膊出量の減少が認められる事を報告して居る. 又人爲低血壓に際し末梢血管抵抗は20~25%の低下, EKGの上では著變はないが, Kuscher-Stein-Bereisnerは稀にhypoxischeEKGを認めている. |