Abstract : |
[第1章 緒言] 食道外科は近年種々の優秀な抗生剤や麻醉補液の進歩発達に依り, 長足の発展をみているが胸部上中部食道手術に関しては, その大綱の確立された現在でも尚軽視出來ぬ手術死亡率を示している. 而してこの死亡率低減の為には適応の嚴選もさることながら術式手技の改善にも期待されるのが現状であろう. 即ち, 現在では, 胸部食道切除後胃を胸腔内或は胸壁前皮下に移動擧上し, 食道胃吻合をなす方法が一般に用いられているが, 之等の術式が普遍化される迄, 胸部食道切除後の所謂食道再建に闃する種々の方法は文獻的にかなり古くから行われて來た. (I)胸廓前食道再建術(圖1) 皮膚管を用いたBircher(1894)を初めWullstein1)(1904), Herzen2)(1909), Lexer3)(1903), Roux4)(1909)等の遊離空腸或は空腸及び皮膚管を用いて頸部食道と胃を連絡せるもの, 更にGianu5)(1912), Bech6)(1905)Fink7)(1913)等の皮膚管並胃の利用や, Kirschner8)(1920), Lortat-Gacob9)(1951), Rudler10)(1951), 中山11)(1951)等の胃單獨利用の他遊離大腸を応用したKelling12)(1911), Vulliet13)(1911), Orsovi14)(1950)等の種々の方法がある. |