Abstract : |
[第I章 緒言] 近時, 麻醉學の發達と共に肺外科手術はより高度の安全性を帶びるようになった. 之に伴って肺の病態生理學的分野の知見も著しく, 換氣・循環・肺胞機能の有機的な相互關係を檢討することによって始めて完全なる肺機能を明らかにし得るに至った. 言うまでもなく, 肺切除術は術側の開胸を要するので, 術側肺と共に對側肺の機能の檢討を充分に行い, 術中並びに術後の呼吸障害に備える必要がある. およそ氣管内麻醉下に行われる開胸手術中の生体に起る變化は麻醉それ自体の影響に加うるに, 手術の影響がある爲決して簡單ではなく, 又患者の個人差, 麻醉時の患者体位, 麻醉劑の種類及び麻醉劑に併用される他の補助劑等により生体の受ける影響は著しく異なるものと思われる, 肺切除と換氣機能に就ては既にLesler1), Birath2), Cournand3), Gaensler4), Overholt5), 久野35), 山田36), 古賀37), 新田38)等の報告があり, 就中, 左右別肺換氣機能の研究はJacobaeus6), Zavod7), Norris8), Carlens9)等の業績から肺切除との關係に及んでGaensler10), Taylor11), Drift12), 三宅39)等の報告がある. |