Abstract : |
[緒言] 肺動脈の結紮は1911年Bruns Sauerbruch2)が行つて肺に結締織性縮小を起させ, これを肺結核及び気管支拡張症の治療に応用せんと企てたことに始まる, 爾来同様な実験を行つた者7)818)19)26)27)は多いが, 肺の結締織化を認めている点では殆んどどの実験も変りはないようである. たゞKrampf9)は其の際肺血栓によつて貧血に陥ると述べている. 更にSmirnoff30)は, 肺動脈結紮後長期間経過した例では気管支粘膜の著明な増殖, その内腔の狹窄或は拡張, 稀に肺の空洞形成を認めている. 池田7)8)は肺動脈枝結紮によって肺に瀰漫陸間質肥厚を来すのみならず, 時として限局性に結締織増殖巣が見られ, この中或るものは楔状出血巣の瘢痕化に一致すると述べている. いずれにしても肺動脈結紮によっては壊死は起らないとしている人が大多数である. 実験的肺結核に対する肺動脈結紮の影響についての武田32), 河端16)等の成績によれば, 初期には結核病変を抑制するが後期になると著しく増悪すると云う. Scott, Hanlon28)等は猿を用いての実験で, 結核病変は結紮した肺又は肺葉に於て高度であるとしている. |