Abstract : |
[緒言] Middlebrookの赤血球凝集反応を化学療法の効果判定の参考として用いようとする試みは, すでに1952年Gernez-Rieux1)が動物実験によりその可能性を示唆しているが, これを臨床的に応用した報告はむしろ意外に少い. わずかにBowen2), Howerd3), Ingrao4), Nagorny5), Meissner6), 小路7), 山下8), 北本9), 原10), 平井11), 平出12), 足立13), 吉田(長)14)らの報告が挙げられる.しかもこれらの報告も, 例数なり, 観察期間なりに必ずしも十分と称し難いものもある. また近来結核の化学療法が併用時代に入り, 系統的にかつ長期に使用される傾向の強くなった昨今, この種の報告は却って少くなり, 化学療法の種別毎の本反応の推移の検討の如きは, 殆どなされていないといっても過言でないように思われる. 著者は本研究の第1報において15)肺切除術後の本反応の推移について報告したが, その際術後凝集価の著しい低下は, 手術に併用される化学療法の影響も参与するかも知れないと述べた. 吉田(文)16)もこれに類した考えを述べているが, この当否を確かめる為には, やはり化学療法時の本反応の推移を追求するより他に方法はないであろう. |