Abstract : |
[第I章 肺上葉炎の病理形態学的所見] (I)文獻概要 従来の文献によると, 本症は病理形態学的には一肺葉に限局した結核症のすべての病変のものが含まれている. それ故, 肺葉性結核或は結核性肺葉炎の名称を与えた人々がある(Sergent, Durand). これらの病変としては乾酪性肺炎の場合, 萎縮性硬化型結核の場合, 及び空洞性浸潤性病変の場合などがある. また病変の拡りから見るとこれらの病変が一肺葉全般に見られる場合と, 結核病変は部分的であるが肋膜病変が限界像をつくる場合とがある. Bernard, Bethouxは肺葉炎は主として慢性肺結核の種々な病型を含んで居り, Lorionは, 結核性右肺上葉炎は一般に自然治癒の傾向が著しいと云つて居る. D. Hourは右肺上葉炎の多くの症例について調べた結果, 病変が肺後上部位に限局する傾向があると述べている. その他Denecheauは上葉炎のなかに葉溝上部炎(Sus-Scissurite)と称する病変のものがあり, これは傍葉溝病巣(Lesion juxta scissurale)として, 葉間肋膜部の病変が近接肺実質部へ波及浸潤し, その瘢痕性後胎症が部分的肺葉炎の形をとるものであると云つている. |