Abstract : |
[緒言] 直視下心臓内手術の進歩に伴い, Fallot氏四徴症に対する手術は, Blalock氏手術と共に直視下で肺動脈狡窄部を拡張し心室中隔欠損部を閉鎖するいわゆる根治手術が多く用いられる傾向にあるので, あらためてこの奇形の形態について検討を加えることは, 大いに意義のあることと老える. Fallot氏四徴症に関する記載は, 古く1672年Stensen1)にはじまり, Morgagni2), Sandifort3), Farre4), Gintrac5), Peacock6)と続き, 1888年Fallot7)に至つてその解剖学的特徴が明確にされた. その後病理学者による剖検例の報告が多数みられるが, 近年心臓外科の発展により本症は青色症中最も重要な疾患として注目され, 各種の系統的な報告をみるようになつた. 形態学的には特に肺動脈挾窄部および大動脈弓について, Selzer等8), Soulie等9), Burke等10), Johns等11), Baffes等12)が病理解剖学的あるいは外科学的な立揚から, Soulie等13), Lowe14), Pattinson等15)がAngiocardiographyによるレ線学的な立揚から夫々論じているが, 心臓全般にわたつてまとまつたものとしては, Donzelot等i6)の54例(内10例は肺動脈閉鎖), Berri等17)の19例, およびBrinton等18)の25例を集めた報告がみられるにすぎず, さらに心臓の形態学的諸要素と心臓カテーテル法等臨床検査上の諸所見との関係について考察した丈献は未だみられない. |