Abstract : |
[緒言] 近時肺切除法は著しく進歩したが更に進んで肺機能の温存にも注意が払われるようになり, 区域或は部分切除術が重要な位置を占める様になつた. それに伴つて肺に切除創を加える場合が多くなつて来た処からこの創の治癒機序並びに之に関する問題を解明する事は種々の術後合併症の防止又は後療法を適正にするため必要な事である. その基礎的な研究に関する歴史は比較的浅くOlch Ballon(1927), Montogomery(1944), Porter(1947), Joanides(1949), Valle and Mider(1950), Findlay(1950), Kausel-Lindskog(1955), 石橋(1953), 中原(1953), 田中(1954), 植田(1955), 西村(1956)等の実験研究が報告されているのみである. とくに肺損傷に関連して肺葉の気管枝, 動脈または静脈を夫々結紮した場合の肺葉の変化に関する研究も夫々種々な目的と立場から既に古くから報告されているが, 当該肺における創面に及ぼす影響如何を考えてみるとこゝにもなお残された問題は少くない. |