Abstract : |
[I. 緒言] 先天性疾心患の心電図に関してはすでに多くの研究がなされ, 心臓カテーテル法の進歩, 外科手術の発達に伴いこれら疾患の血行動態が明らかになるとともにその血行動態と心電図との関係を解明しようとする試みが行われるようになってきた1)~22). 木本外科教室においては1951年以来各種の心疾患に対して心臓カテーテル法検査および手術治療を行つたがそれらのうち, 動脈管開存症, 心室中隔欠損症, Valsalva氏洞動脈瘤右心室内破裂および心房中隔欠損症について心電図と血行動態との関係について, さらにこれらの手術後の変化をも追求して若干の知見を得たのでこゝに報告する次第である. 便宜上血行動態の類似した動脈管開存症, 心室中隔欠損症およびValsalva氏洞動脈瘤右心室内破裂を第1編にまとめ, 心房中隔欠損症については第2編においてのべることとする. 動脈管開存症および心室中隔欠損症の心電図についてはSokolow23), Ziegler24), Hultgren25), Braunwald26), Grpss27), Uhley28), Landtman29), 小林30)および村尾31)等の報告があり, またその血行動態と心電図との関係に関してはDammann12), Cabrera13), Blount14), Sodi-pallares15), Marsico16), Zacharioudakis17)およびWeiner18)等の発表があるが, 循環諸量と心電図との関係についての詳細な記載はみられない. |