Abstract : |
「第1章 緒言」肺結核症における肺切除術後の胼胝形成は程度の差こそあれ, 肺切除術にとつてさけられないことである. しかも人工気胸術の場合と同様に, 全く予測しない症例に高度に現われることが稀でない. このことが肺切除術にとつて1つの大きな欠点になることは云うまでもない. 従つて肺切除術後における胼胝形成の程度と肺機能障害程度との関連を究明することは極めて必要である. 肺切除術後における肺機能の研究はVan der Drift1)2), Gaensler3), Birath4), Overholt5), Key6), 古賀7), 延島6), 入倉9), 岩本10), 大和田11)等によつて行われているが, これらの多くは胼胝形成の軽い症例で切除範囲との関連の下に追及されたものであり, 術後における胼胝形成程度と関連づけた肺機能障害の研究はごく少ないようである. 従つて著者はこの点を探究してみようと考えて本研究を行った. 肺機能の検索はComroe12)の言を借りるまでもなく, (Ventilation), 拡散(Diffusion), 肺毛細管血流(Capillary blood flow)の3方面から詳細に行われねばならないが, 著者は換気能に対する障害のみをとりあげて検索を進めた. |