Abstract : |
「第1章 緒言」心臟内直視下手術のための, 心臓血流遮断の対策としての人工心肺の研究はGibbon25)により糸口は開かれた. 幾多の変邏を経て, その臨床応用もなされて来たが18)21)31), 1953年Miller, Gibbon27)は心室中隔欠損症に対し最初の成功例を得, 以後続々と各所で輝かしい成果を挙げるに至つた13)39)46). 一方, Bigelow6)により始まつた低体温法も, 1953年Lewis4)による心房中隔欠損症に対する成功以来, 心臓外科に対し人工心肺と共に大きな役割をなすに至つた5)61). この他, 交叉体外循環45), 撰択的脳潅流冷却法50)81)も以上の研究の産物として臨床に応用されている. 又, 人工心肺と低体温法の長所を夫々利用しようとする低体温併用人工心肺は, 我国では榊原等64)が良好な成績を挙げているが, 外国ではSealy55)56)其の他により研究されている28)51). さて, 我国の人工心肺の歴史は如何. 第2次大戦の惨状の跡も生々しい1951年, 故戸田教授が無から有を作るべき本邦最初の人工心肺に手をつけられた105)106). |