Abstract : |
「緒言」近来麻酔法の急速な進歩は目覚ましいものがあり, 手術手技の改善, 抗生物質の使用と相まつて, 困難な症例が外科的に処置される傾向にある. その結果手術のStress及び麻酔自体のRiskをできる限り減少させる事が要求される様になつて来た. この意味で近時低体温麻酔法が抬頭し研究されるに至つた. 1922年Cannonは生体が生命を推持する為に恒常的内部環況を維持する事がある事を指摘し, Homeostasisと名づけ, この反応は緊急反応Alarm Reactionとして自律神経至系が主体をなすものとした. 1936年Selyeは生体防禦機構における下垂体副腎皮質系の重要性を解明し, 1952年Laboritは自律神経遮断により下垂体副腎皮質系を抑制し過剰防衛反応を抑制する人為冬眠法を創始した. 是に対し1950年Bigelowはセコナールによる低体温麻酔の基礎的研究を行い, 以来Lewis & Taufic. Bailey. Swan. Hegnauerらにより直視下開心術へと臨床的発展を遂げ, 本邦においても岡村, 渡辺その他により研究が進められ, Deep Hypothermiaの領域まで発展し, 臨床面でも実用して勝れた成績を得ている. |