Abstract : |
「緒言」近時心臓外科の発達は目覚ましく, 特に人工心肺装置を用いての直視下心臓内手術症例数の増加は驚異に値する. 人工心肺装置を使用するには大量の血液を必要とするが, 最近供血者が減少する一方, この様に手術例数が増加し, さらに使用血液の供給不足を来しつつある. この様にして必要を追られて来た血液節約の観点から, 人工心肺装置の小型化1), 新鮮ヘパリン血の代りに保存血を使用しての体外循環2)~4)104)供血者血液を使用せずに行なう体外循環5), および供血者対策6)などが研究されている. 一方A.M.Dogliottiは1961年2年The Journal of The International College of Surgeons7)において人工心肺装置を改良して使用血液を少量とし, 低体温を併用することによつてさらに長時間の直視下心臓手術も可能となるものと思うと述べているが, 我が東京女子医大榊原外科教室においては1954年以来低体温法に人工心肺を併用するという独特の方法を創案実施しており, 同時に出来るだけ少量の血液を使用して手術する方針を堅持して来た. |