アブストラクト(12巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部上中部食道癌術前照射に関する研究 特に2000~3000r/10~14日照射例に就いて
Subtitle :
Authors : 小林誠一郎, 中山恒明
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部中山外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 12
Number : 7
Page : 625-677
Year/Month : 1964 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第I編 緒論」「第1章 緒言」食道癌の治療, 就中胸部上中部食道癌の治療は, 現在なほ困難なる問題の1つである. 教室に於いて中山教授は瀬尾外科以来 本問題に專心され, 麻酔等治療法の進歩に伴い, 諸種手術法に改良を加え, 手術死亡率を著るしく低下せしめ, 安全に手術を施行し得る現状に到達して居るが, その遠隔成績に関しては末だ遠く満足すべき点に達して居らない. 諸家の報告(表1)に見る如く, 上中部食道癌の手術死亡率は平均30%内外を示して居り, 手術の困難性を物語つて居る一方, その治療成績の面に於いても, 外科及放射線科の何れにとつても甚だ悲観的と言わざるを得ない現況である. 5年生存率から見ても判る如く, 外科的治療では10%前後, 放射線科治療では5~8%前後と前者のやゝ優れて居る事を示すが決定的な差を認める訳にはゆかない. 成績不良の原因は, 食道癌が年令50才乃至70才の老年期に好発し, 個体の抵抗性の弱い事に加えて食餌摂取困難に依る栄養低下状態, 又食道の解剖学的位置関係から手術的に胸部及腹部に亘る大侵襲が加わるという点, 或は, 放射線科側にとつても同様, 照射による肺炎, 病巣部の穿孔の危險等, 技術的困難性の高い事もさる事ながら, 教室の統計及諸家の統計の示す如く, その切除率は極めて低率を示し, 更に根治的切除率に至つては極めて低い事からも, 明らかなる通り諸家外来を訪れる患者の大部分が既に最も治癒の可能性の高い病変の時期を過ぎて居るという事に原因している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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