Abstract : |
「第1章 緒言」僧帽弁膜症の外科は, 後天性疾患に対する外科的治療の中で最大の部分をしめ, 特に僧帽弁狹窄症に対するBailey以来の交連切開術は, すでに日常的手術と化して, その安全性と手術効果はほゞ一定の水準に達した感がある. 1)2)一方僧帽弁閉塞不全症に対しても以前より外科的治療の関心が注がれ, 3)4)Murray5), Templton6), Bailey7)8), Logan9)等10)11)のハンモツク法, Harken12)13), Blalock14)等15~20)の弁尖欠損充填法, Davila21~24)Borrie25), Hurwitt26), Kay27)28)29)30)等の線維輪縫縮法などの種々の盲目的手術が試みられたが, いずれも十分な成績を上げ得なかつたようである. その後の人工心肺による体外循環の進歩で, より安全かつ長時間の潅流が可能となり, また僧帽弁狹窄症の交連切開術も術後経過の観察や症例の増加とともにその不十分な点も種々認められるに至つて, 31)32)これら重症僧帽弁狹窄症, 閉鎖不全症, あるいは両者の合併例などに対し, 直視下手術による正確確実な修復が求められてきた. |