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「第1章 緒言」多くの先天性心疾患の形態学的な奇形は, 今日根治手術によつて矯正されるようになつたが, これら先天性奇形によつてもたらされた循環器および呼吸器の二次的病変が, 手術によつてどの程度まで改善されるものであるかは今日なお不明の点が多い. 著者はこの一次的および二次的な形態学的変化の上に成立している先天性心疾患の複雑な血行動態が, 根治手術ののちにどのような変化を示すか, 果して正常となり得るものかどうか, という問題の一端を解明したい目的で, 手術の前後に右心カテーテル検査を行なつて血行動態の推移を観察し, これと手術所見との関連性を比較検討した. その結果, 先天性心疾患に対する根治手術の成績向上と手術予後判定の上に有用な知見を得たので, ここに報告し, 御批判を仰ぐ次第である. 「第2章 研究対象および研究方法」昭和33年2月より昭和39年12月に至る6年10カ月の間に大阪医科大学附属病院に入院し, 先天性心疾患の診断を受け, 当教室において根治手術を受けた症例のうち, 心戻中隔欠損症31例, 心室中隔欠損症37例, 動脈管開存症2例, 肺動脈狹窄症およびファロー氏四徴症各1例, 計72例を研究対象とした. |
