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「緒言」最近外科の進歩発達に伴い, 手術適応が拡大され, 生体の受ける手術侵襲も次第に大きくなるにつれて, 術前後の管理向上に拘らず, 今なお術後肺合併症の発生は決して少くない. その成因に関しては, 術後生ずる低肺換気を主体として気道分泌物の貯溜, 気管支閉塞, 無気肺を招来し, さらにこれに細菌感染が加わり易くなることにある10)12). 従つて, 術後の低肺換気状態を是正することは, 肺合併症予防に対して重要な条件の一つであることは論を俟つ迄もない10)12)13). その対策として, 深呼吸の励行, 気管切開により有効換気量の増大, I.P.P.B.による強制過換気50), 炭酸ガス吸入による換気量増大15)16)17), 等の種々の方法がとられて来た. 炭酸ガス吸入による肺合併症予防への臨床的応用は, 1920年Yandell-Henderson14)が提唱して以来, 諸家15)16)17)により試みられて来たが, 術後の病態生理が著しく解明されるに到つた今日, 術後管理の安全性を期する点からも, より詳細な基礎的検討が, 今一度なされなければならないことを痛感する. |
